裁判では、ワイヤーが脳内に刺入する事故があったかどうかが最大の争点になりました。そして、手術中に撮られた術中レントゲン写真(正面・側面)、術後2日目に撮られた脳CT写真から、脳内刺入はあったと読影するか、なかったと読影するかが問題となりました。
2004(平成16)年7月26日、東京地方裁判所は、Kワイヤーの脳内刺入について「Kワイヤーは脳内に刺入していない。」と認定した上で、但し、そう信じたことには相当な理由があるとして日本医大等の請求を棄却する判決を言い渡しました。
2005(平成17)年11月9日、東京高等裁判所は、「Kワイヤーは脳内に刺入していない。」とした上で、そう信じたことに相当な理由もないと認定して、日本医大等の請求を認める判決を言い渡しました。
当然ながら郡家医師は上告しました。脳のレントゲンやCTの学者・専門家にレントゲン写真やCTを送り意見を求めたところ、36人から回答があり、その大半が脳内に刺入していると指摘しました。これも提出しましたが、最高裁は本年7月6日、実質的な審理をすることなく、上告を棄却し、高裁の判決が確定しました。やむなく、郡家医師は、日本医大とA医師に合計約700万円の支払いをしました。 |